まあいっか

まあ(台風)一過です。
台風で今週の勉強会軒並み中止になっているので書くことありませんが、ちょっといま勉強中の本職のことについて。

次の定理の証明を読みました:

ZFCで非可算個の可測基数が存在すると仮定する。このとき、L(Ord^\omega)において、選択公理の否定が成り立つ。

まあ、不思議な話です。
選択公理が成り立たないモデルの構成に関しては、別に巨大基数を仮定しなくても作れて、実際に、ある強制拡大したモデルで内部モデルL(Ord^\omega)をとればよい、という話があります。
先ほどの定理は、そういう強制拡大の操作を取り除いた上でカノニカルなモデルL(Ord^\omega)で"not AC"が成り立つというものです(但し、巨大基数公理を仮定)。
(なんで巨大基数公理を仮定すると取り除けるか、みたいな話は、何でしょう、後々Woodin基数を使った強制絶対性が成り立つからみたいなこともあるんでしょうか…?
今回のケースでは巨大基数の仮定はWoodin基数を使わない十分弱いものですが。)

これに続く話として、Woodin基数がたくさんある仮定すると、L(Ord^\omega)とか特にL(\mathbb{R})で任意の実数の部分集合がルベーグ可測になったり、完全集合の性質をもったり、ベール集合になったりするわけです。
(そのようなモデルで選択公理が成立していないのは明らかで、選択公理を成り立つと思うと有名なVitaliの非可測集合の構成法が適用できる。)

証明の中身についてはここで述べることはできませんし、何よりちゃんとフォローしていないのでだめだめなのですが、感じとしては、可測基数から誘導される初等埋め込みを考えて、ある順序数\lambdaについて\lambda^\omegaに可算順序数列をパラメーターとして定義可能な整列順序がのらないことを示すというもので、ポイントとしては、十分多くの順序数とパラメーターを動かさないような初等埋め込みがうまいこと取れて、一方、\lambda^\omegaの元をそれが埋め込みの臨界点を含むようにすると、その元と写った先の元で順序型が同じになってしまって矛盾しますねというものです(うっ全然説明になっていないなあ…)(テクニカルな詳細議論完全無視(このへんがだめだめ))。
もちろん、そこでは実数の集合がどうのという話は出てこないという点では、なんだか不思議だけどそうですね、みたいなことになる。

まあここら辺の話は記述集合論とか内部モデル論とかジェネリック埋め込みの話とかがオーバーラップしてくるところで、かなり難しいわけです。
大丈夫かなあ、とは思いつつ、少なくともジェネリック埋め込みの構成とかはフォローしたいなぁとか考えながらテキストを読みすすめているわけで…。

いや、こう随分偉そうですね、すみません、挫折しない程度に這いつくばって頑張ります。

うー!にゃーーー!!!